#04 ウィスキーキャット

28. April. 2013
Whisky Cats

世界でもっとも優秀で、もっとも有名な猫。
彼女の名前は「タウザー」。

1986年4月21日、タウザーの23歳の誕生日に一通のバースデーカードが届けられました。差出人の名前は"エリザベス・アレクサンドラ・メアリー"。そう、イギリス連邦王国女王・エリザベス2世、その人だったのです。

イギリス本島の最北端に位置するスコットランド。約790もの島々が点在し曲がりくねった川と壮大な山々がそびえ立ちます。この圧倒的な自然に育まれ生み出されているのがマッカランなどでおなじみのスコッチウィスキー。
スコットランドに現存するスコッチウィスキーの蒸留所は約100カ所に数えられます。
そのひとつ、ハイランド地方の南、クリーフという小さな町にスコットランド最古の蒸留所といわれるグレンタレット蒸留所は存在します。
世界でもっとも優秀で、もっとも有名な猫と言われるタウザー。彼女は、1963年から1987年までの24年間、このグレンタレット蒸留所でウィスキーキャットとして活躍しました。

ウィスキーキャットとはネズミや鳥などの害獣からウィスキーの原料である大麦を守るために蒸留所で飼われていた猫のこと。現在では法律などによりウィスキーキャットを飼うことは制限されていますが、かつてはほとんどの蒸留所で倉庫番兼マスコット的な役割を果たしていたといわれます。
ウィスキーキャットのタウザーが世界でもっとも優秀で、もっとも有名な猫と言われるようになったのは、「世界一ネズミを捕った猫」としてギネスブックに登録されたから。
その捕獲数はなんと、28,899匹。ちなみにこの"28,899"という数はタウザーの自己申告によるもの。タウザーはネズミを捕獲すると蒸留所の従業員たちにわざわざ見せに来るという習性があり、やがて従業員たちがその数を記録するようになっていった、というわけです。

タウザーが生まれた4月21日は、偶然にも女王エリザベス2世と同じ誕生日でした。
そこでタウザーは自身の23回目の誕生日にあわせて、女王陛下のもとへバースデーカードを送ったのです。
「女王陛下、お誕生日おめでとうございます。同じ日に生まれたグレンタレット蒸留所のウィスキーキャット、タウザーより」と。
するとバッキンガム宮殿の女王陛下からタウザーのもとに返信が届けられたというのが、冒頭のエピソードです。当然のことですが女王陛下にバースデーカードを送ったのはグレンタレット蒸留所の人たち。とても粋なはからいですが、女王陛下から返信も「さすが」と思わせる振る舞いだといえるでしょう。

ちなみに、タウザーの年齢を人間に置きかえると約161歳。女王陛下から届いたバースデーカードには、こんなメッセージが添えられていました。

「161歳のお誕生日おめでとう」。