ハジマリとオワリ。"Mogwai play Atomic"

2016.6.1(水)
MOGWAI
@HIROSHIMA CLUB QUATTRO
“Mogwai play Atomic”

ハジマリとオワリ。

13年という長い時を経て実現した2度目のMOGWAI広島公演。

彼らを目にすることが出来たのは始まりと終わりの2回だけだった。

ライブ冒頭、ステージ上に4人のメンバーが現れると、

通訳とともに説明が始まる。

アルバム『ATOMIC』が生まれた経緯を語り、

最大限メッセージを届けるために

演奏風景を見せず映像に寄り添わせる形でライブを行うこと、

また『ATOMIC』以外の楽曲を一切演奏しないことを事前に告げる。

『広島』の大きな拍手が、音楽ライブとしては異例の約束を受け入れる。

英国グラスゴー出身の4人組バンドMOGWAIの最新アルバム『ATOMIC』は、

BBCで2015年に放送された映像ドキュメンタリー

『Atomic: Living In Dread and Promise』のサウンドトラックから生まれた。

その骨となったのは、彼らが2003年に

広島平和記念公園を訪れた際の体験からだと明言している。

それだけにこのライブの意味は大きい。

真剣にメッセージと向き合い、考え抜いた末の結論が、

広島クラブクアトロのステージ全面を白い幕で覆い、

ドキュメンタリーの映像を中心に届けるライブとなったのは、

純粋すぎる作品を生み出し続けている

MOGWAIらしい決断なのかもしれない。

そして、この日の主役となる『Atomic』がスクリーンに流れ出す。

 

イギリス国営放送が原爆投下70年にあわせて製作した

マーク・カズンズ監督による作品は、

人類が『原子力』から手に入れた原子爆弾や原子力発電所、

放射線医療などを様々な角度から捉え、

膨大な資料からエディットされたアーティスティックで濃密な映像で構築されている。

米国でも日本でもなく英国という視点から切り取られた『原子力』が、

広島に生まれ育った自分にとって、斬新な感覚を叩きつけてくる。

その視覚的な衝撃を支えているのが、

とても静謐で美しく、時に暴力的ともいえるMOGWAIの旋律。

何度も書くけれど、演奏する姿は、大袈裟ではなく、まったく見えない。

だけど、届く。

例えるならば『愛している』という言葉を何千回唱えるより、

真っ直ぐに目を見ているだけで伝わることもあるという感じだろうか?

映像にシンクロする形で、声なきメッセージが轟音で鳴り響く。

テレビで見るだけじゃ届かない、

特別な空間だからこそ生まれる特別な感情。

立ち尽くし、浴びるように『ATOMIC』を受け止める時間は、

逃れられない現実と向き合う時間でもあった。

全ての演奏を終え、安堵の表情で舞台に立つMOGWAIメンバーに、

大きな歓声を送りながら心に刻む。

これはオワリではなくハジマリなんだろうと。

ちょこっとだけ楽屋で遭遇したメンバーは、自分の着ていたMOGWAIの古いTシャツに大笑いで突っ込んでいました(笑)本当に気さくな彼ら、また広島に帰ってきて欲しいですね〜。今度は早いタイミングで(笑)

【Atomic(アトミック)】

2016.04.20発売
HSE-3338 / 2,100円+税
Rock Action Records / Hostess
※初回仕様限定:
ボーナストラック1曲
ダウンロードコード付
ステッカー封入
(フォーマット:mp3)。
ライナーノーツ付

<トラックリスト>
Ether
SCRAM
Bitterness Centrifuge
U-235
Pripyat
Weak Force
Little Boy
Are You A Dancer?
Tzar
Fat Man

日本盤ダウンロード・ボーナストラック
Roof

Written by キムラミチタ