音空間の芸術に、言葉はいらない。アート・リンゼイ×青葉市子広島公演

2016年9月6日 広島CLUB QUATTRO
“ ARTO LINDSAY × 青葉市子 ”
presented by 晴れ豆インターナショナル

・・・ぶっちぎりに画期的で、圧倒的に素朴なライブだった。


9月6日広島クラブクアトロで開催されたのは、
ニューヨークアヴァンギャルドの異才ギタリスト アート・リンゼイと、
クラシックギターとうたで独自の世界観を表現する青葉市子の
ふたりだけのステージ。


数々のロックバンドが爆音でライブをしている会場とは思えないほど、
開演前のフロアに広がる静寂。
豆電球のような薄明りが灯るステージに2人がそろって現れても、
これからステージで起こることが予想できない我々観客は、拍手で迎えるのがやっと。
期待と緊張感で胸がいっぱいなのは、
最初の一音が出るまで、なんだか夢みたいな気がするから。


青葉市子が紡ぎ出すクラシックギターのメロディーは、
豊かな水をたたえた川のように流れゆく。
リズムを刻み、突如ノイジーな轟音を立てながら発するアート・リンゼイのエレキギターの音は、
その川を自由に飛び跳ねる魚のようだった。

景色に彩りを添える、温かくやさしい響きのアート・リンゼイの歌声と、
のびやかに透き通る青葉の歌声。
生まれ育った時代も環境も、ましてや人種も違う二人が、
ギターと自分の声だけで鳴らす音楽から繰り広げられる、物語の世界。
ここには、決まったあらすじもMCでの明確な説明もない。(というか、MC皆無。)


しかし、息を飲み、瞬きをこらえ、見ている観客の一人一人の脳裏には、
各々の物語がイメージされていたはず。
それこそが芸術に触れるものだけが味わえる、喜びの時間だったことに間違いない。
音楽が空間の芸術であること。
そこにはどんな言葉も、太刀打ち不可能であることを証明していた。


【告知】
広島FM『Rock It Out!』では、
終演後、青葉市子へのインタビューを敢行。
普段滅多にメディアには登場しない彼女に、
この貴重な共演が実現した経緯について、
そして待望のニューアルバム『マホロボシヤ』の話を訊いた。
この模様は10/16(日)18時~放送される。


また、11/11(金)には広島クラブクアトロでワンマンライブも決定。
うたとギターで織りなす夢とうつつを行き来するようなライブを、
生で体感してほしい。

素朴度
★★★★☆
アート度
★★★★☆
アヴァンギャル度
★★★★★

もはや、ライブの概念さえ崩れそうなほど、自由に音楽を乗りこなす
二人の狂気をはらんだ夢の世界。
こんなにも言葉の無力さを感じるライブは、初めてだった。

Written by 広島FM『Rock It Out!』DJ 濱野 歩