オススメBOOK☆水の柩

廣文館 広島駅ビル店の江藤さんが紹介してくれたのは、
道尾秀介 「水の柩」
物語の主人公は旅館の長男として生まれた中学2年生の男の子、逸夫。
小学6年生の時に引っ越してきた同級生、敦子と言葉を交わすようになってから
逸夫の人生は急展開し、まわりにいる友人や家族の知らなかった衝撃の過去に
触れていきながらも成長していく物語です。
著者の道尾さんは、去年、直木賞を受賞した注目の作家さんです。
江藤さんは道尾さんの大ファンで全作品読んでいて、
必ずいい小説を読ませてくれると信頼している作家さんなんだとか。
今までの道尾さんは、読んだ人の心になにかしらの傷跡を残すような、
揺さぶりをかけるための1つの手段として、
サプライズ的なトリックを使っていたんですが、ただ、今回の作品では、
そのような飛び道具を使うことなく、読者の心を強く揺さぶります。
この小説には、とても美しいラストシーンが用意されています。
とても神秘的な現象と、そこで起こる出来事が組み合わさって、
読む人に深い感動を与えるすごくいいシーンです。
この小説にははっきりした決定的な事は書かれていません。
全ては、読む側の想像力にゆだねられています。
だからこそ、読む側はさまざまな思いを登場人物と共有したり、
その気持ちを 考えてみたり、心の奥底を覗いてみたり、しなくてはいけません。
小説のもつ力を感じながら、ぜひ感動を深く味わってください。