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2021年11月 5日
11月5日〈広島大学大学院 人間社会科学研究科 准教授〉中村江里(なかむら えり)さん

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中村さんは、広島大学大学院の准教授として教壇に立ちながら、近現代日本の戦争と精神医療の歴史を専門に研究されています。

いまでは広く認知されているトラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですが、はじまりは欧米とされベトナム戦争から戻った兵士の精神的後遺症が社会問題となったことでPTSDという診断名がつき、以来トラウマの歴史研究として進んできました。

日本でも日中戦争以降に精神疾患兵士の治療体勢が整備されましたが、戦後50年以上はほぼ忘れ去られていたそうです。中村さんはその理由を明らかにしたいと大学院での研究を始められました。

 

戦争から帰還した兵士は、生きて戻ってきたことによる「生存的罪悪感」が見られ、精神を病んでしまう人も多くいたとされます。心を病んでしまった兵士やその家族も、自分に対して強い「恥」の感覚を持ち、自分の経験を回想録や証言に残すことはありませんでした。また当時の軍の命令で多くの公文書も焼却・隠匿されるなど事実を知る史料も残されていません。

そんな中、中村さんは当事者の言葉や表情、身振りなどがそのまま記録として書き残されていた陸軍病院のカルテを貴重な史料として活用してきました。

心を病んだ兵士達が戦後どのような生活を送ったのか。その家族にはどのような影響があったのかを明らかにし知られていない事実を伝えることを自身の使命としつつ、研究を通して兵士達の存在から「人間は傷つく」ということを、日常生活の事柄に置き換え、再認識してほしいと言われます。

戦争体験者が減少していくなかでの情報は貴重です。元兵士のご家族で情報提供やインタビューのご協力をいただける方は是非中村さんへのご連絡をお願いします。

 

中村江里プロフィール

https://researchmap.jp/erinakamura?lang=en